九州の秋は短いが、それでも紅葉で覆われた山の中で焚火をしながら星空や鹿の声を楽しめる時期がある。いつの間にかスズ竹が無くなった山は歩きやすくなり、熊が居ないことも相俟って、沢水と平坦な場所があればタープの下でごろ寝をしながら一夜を過ごすことができるのは九州の山屋の特権かもしれない。10月の終わり頃、総勢10名で上見立の英国館の横から出発する。天気は最高だ。
最初は見立本谷に沿って川沿いのトロッコ道を登る。黒岩谷出合い付近はすでに紅葉している。
黒岩谷に沿って林道を歩き、林道終点から南西方向に尾根を一つ越えるとテン場はすぐそこだ。
林道の途中で傾山が見えた。この角度から傾山を見ることは少ないので滅多に見られない山の形だ。
今夜はどこに寝ようかな~と考えるのは楽しい。沢の近くで焚火ができてできるだけフラットな場所を探す。
16時過ぎにテン場に着きタープを張り焚火に火を着ける。寝床を準備してから夕食の準備をする。全員が集まって乾杯したら宴会の始まり。いつの間にか眠くなってシュラフに潜り込む。
翌朝は6時頃に目が覚めたが外はまだ暗い。朝食を食べ、準備をして8時過ぎに歩き始める。
今日も天気はいいようだ。テン場から本谷山に繋がる稜線に取りつき、尾根を北上する。
見晴らしのいい高台に登ると本谷山のピークが見えてきた。
とはいえ、すんなりと山頂には届かない。岩場を超え、岩峰を巻き、あっちに行き、こっちに戻りして標高を上げる。
10時頃、本谷山山頂に着く。休憩していると、下から3~4人の登山者が登ってきた。どちらから?と問われて、説明の仕方がわからず、「沢から」と適当に答える。
下りは稜線を少し笠松山方面へ辿ってからトクビ谷と中ん谷の間の尾根を下る。稜線は風が冷たかったが、下り始めると風裏になって寒さが和らいだ。
この辺りの紅葉も綺麗だ。
遠くを見ると東山魁夷の絵のような風景が広がっている。
1219のピークを過ぎ、見立本谷にかかる橋のたもとで12時頃にランチタイム。14時前に英国館横の広場に着く。
ここは何度来ても楽しい。色とりどりの紅葉、焚火、鹿の声、青空、またたく星、稜線を吹き抜ける風。また来よう。
2023年10月28日 英国館横広場11:00~見立本谷~黒岩谷~林道終点~煤市源流広場16:20(泊)
10月29日 煤市源流広場8:00~本谷山10:00~下降開始~林道出合~英国館横広場13:50